投資家のためのマネーマネジメント ~資産を最大限に増やすオプティマルf
日本語で出版された投資本の中で最高峰の書物
原書はアメリカで10年前に出版されたもので、後に数学的な誤りを指摘された箇所もありますが、資金を幾何級数的に増やすビンス氏のロジックの本質が揺らぐものではありません。
オプティマルfに関しては多くの誤解があるのも事実です。
例えばTWRが最大となるfの値で運用すると破産するというのがよくある誤解です。
破産するのは期待値が負のシステムにおいてオプティマルfで運用した場合であり、正の期待値を持つシステムで運用した場合、必ずしも破産するわけではありません。
非常に大きなドローダウンがあるだけです。
この大きなドローダウンを破産と捕らえてしまっては、この本の価値は失われてしまいます。
期待値が正のシステムにおいて資金を最大化するにはこの方法しかないのです。
トレードをする人にも、大きな成果を望みたいのであれば、それに見合ったドローダウンを受け止める覚悟が必要になります。
魔法はありません。
ドローダウンを小さく抑えたいのなら運用利回りも小さくなることを受け入れる必要があります。
実際の運用において、どのf値を選択するかは運用者のドローダウンに対する精神的耐久性によって判断するのがいいのではないでしょうか。
本書の最後のほうのページで紹介されている
G=(A^2-V)^(1/2)
は鳥肌ものです。
G:推定幾何平均
A:HPRの算術平均
V:HPRの分散
HPR:1+f(-Profit/WorstCase)
この式はトレードで儲けるための全てを教えてくれます。
A^2がVより大きければ大きいほど成果は目を見張るものがあるでしょう。
Vをいかに小さな値にするか、また公式の中のWorstCaseに過去
の最大損失を使うのか、あるいは他の統計的な数値を使うかで成果は大きく違ってくることでしょう。
びっくり!
ラルフ・ビンスの名前は聞いていましたが、翻訳書が出たときは古い本の翻訳なので、あまり大きな期待もしていませんでした。第1章の「確率過程とギャンブル理論」を読み始めたときも「ああ、よくある解説だろうな」という程度にしか、考えていませんでした。ところが驚き!「ランテスト、Zスコア、信頼度」のところでは「こんなデータの検証方法があるのか」と非常に新鮮な驚きを覚えました。本を読んでそうした経験をすることは余りありません。それだけに私のとっては非常に価値のある1冊となりました。分厚い本書の中には理解できない部分やあまり興味のもてない部分も散見されましたが、システム売買に関して非常に参考になるので、売買システム構築をする方にはご一読をオススメします。
おすすめ度:

発売日: 2005-09-22
発売元: パンローリング
